日々徒然でもない日常
最近TSUTAYAの旧作が100円になったから、毎週数本ずつ借りて充実。
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『さいはての二人』 鷺沢萌
DATA
出版社 角川文庫
定価(税別) 400円
発売日 平成17年4月25日 初版
ISBN4-04-185310-9
読了 2012年2月1日~2012年2月1日
*****
「― この男は、あたしだ・・・」
美亜がはじめて朴さんと会ったのは、所属していた劇団が潰れたのを機に、新橋の飲み屋『スタア』で働きはじめて1週間経つか経たないかの頃だった。三日にあけずに店に顔を出す朴さんに、美亜はやがて「あたしと同じものを持っている」と、強くひかれていくのだった・・・。
家族との繋がり、自分の居場所、死について描いた、著者最後の恋愛小説集。
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200201000473
*****
「さいはての二人」
好きなんて器に収まらない圧倒的な近しさを感じる朴さんと出会い、美亜は始めて帰る場所を見つける。
母に捨てられ、施設で育った美亜。長く付き合っていた恋人と別れ、その傷が癒えずにいるときに出会った、もう一人の自分。
しかし、朴さんが死んだとき、美亜は朴さんのことを何も知らないと気付いた。
切ない。
お互いが思い合っているのがひしひしと伝わってきて、幸せになってほしかった(涙)
持ったことがないもの知らないもの見たことのないもの―。人が、貪欲に求める対象は、いつでもそういう種類のものだ。
P33~34より
「なあんか・・・人間って、馬鹿」
(中略)
人間は馬鹿な上に、毎日生きていかなければならない。
もし神様みたいな存在がどこかにいるのだとしたら、まったくひどい罰を下したものだ。きっと馬鹿であるという罪にたいして下された罰なのだろう。おまえたちは馬鹿だ、ゆえに生きていかねばならん、と。ずるずるずるずる、ありとあらゆる重くて醜いもろもろのものを引きずりながら、けれど生きていかねばならん、と。
P87より
★★★★☆
「約束」
両親に甘やかされ、学生時代にやんちゃし、気がつけば一人だけ取り残されてしまった行雄。
回りは堅実に自分の道を歩いているというのに、自分だけが決まらない。とりあえず美大に行き、就職も決まったのだが、恋人の真由子が妊娠してしまう。
逃げ出した行雄は、東京にアパートを借り、アルバイトで生活するようになるが、ある日隣の部屋の女の子とであう。
虐待されているらしいその子は・・・。
親になれない主人公は、逃げ出した先で出会った女の子によって、自分の道を歩く決心をする。
成長の物語。
最初はまったく想像してなかった展開でちょっとびっくり。
目の前にはあり余るほどの時間があるが、自分はその使い途を知らない。 P111より
★★★☆☆
「遮断機」
その日、死んでしまいたいと思うほどの出来事にあっていた笑子は、笑子はおさないころ可愛がってくれた「おじい」と久しぶりの再会をする。
幼少時代から、現在にかけての回想のなかで、笑子が求めていたものとは。
単なる失恋の話ではなくて、失ってしまった家族の姿を描いている作品だとおもう。
3年前別れた男が元職場の後輩と結婚すると知り、笑子はその彼と築き上げるはずだった家庭が崩壊していくのを感じたのだと思う。だからこそ、死にたいと思い詰めたのではないかな。
幼いころから家庭に恵まれなかったからこそ、思い入れも強かったのだろうけど、彼女には幸せになってもらいたいね。
★★★☆☆
DATA
出版社 角川文庫
定価(税別) 400円
発売日 平成17年4月25日 初版
ISBN4-04-185310-9
読了 2012年2月1日~2012年2月1日
*****
「― この男は、あたしだ・・・」
美亜がはじめて朴さんと会ったのは、所属していた劇団が潰れたのを機に、新橋の飲み屋『スタア』で働きはじめて1週間経つか経たないかの頃だった。三日にあけずに店に顔を出す朴さんに、美亜はやがて「あたしと同じものを持っている」と、強くひかれていくのだった・・・。
家族との繋がり、自分の居場所、死について描いた、著者最後の恋愛小説集。
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200201000473
*****
「さいはての二人」
好きなんて器に収まらない圧倒的な近しさを感じる朴さんと出会い、美亜は始めて帰る場所を見つける。
母に捨てられ、施設で育った美亜。長く付き合っていた恋人と別れ、その傷が癒えずにいるときに出会った、もう一人の自分。
しかし、朴さんが死んだとき、美亜は朴さんのことを何も知らないと気付いた。
切ない。
お互いが思い合っているのがひしひしと伝わってきて、幸せになってほしかった(涙)
持ったことがないもの知らないもの見たことのないもの―。人が、貪欲に求める対象は、いつでもそういう種類のものだ。
P33~34より
「なあんか・・・人間って、馬鹿」
(中略)
人間は馬鹿な上に、毎日生きていかなければならない。
もし神様みたいな存在がどこかにいるのだとしたら、まったくひどい罰を下したものだ。きっと馬鹿であるという罪にたいして下された罰なのだろう。おまえたちは馬鹿だ、ゆえに生きていかねばならん、と。ずるずるずるずる、ありとあらゆる重くて醜いもろもろのものを引きずりながら、けれど生きていかねばならん、と。
P87より
★★★★☆
「約束」
両親に甘やかされ、学生時代にやんちゃし、気がつけば一人だけ取り残されてしまった行雄。
回りは堅実に自分の道を歩いているというのに、自分だけが決まらない。とりあえず美大に行き、就職も決まったのだが、恋人の真由子が妊娠してしまう。
逃げ出した行雄は、東京にアパートを借り、アルバイトで生活するようになるが、ある日隣の部屋の女の子とであう。
虐待されているらしいその子は・・・。
親になれない主人公は、逃げ出した先で出会った女の子によって、自分の道を歩く決心をする。
成長の物語。
最初はまったく想像してなかった展開でちょっとびっくり。
目の前にはあり余るほどの時間があるが、自分はその使い途を知らない。 P111より
★★★☆☆
「遮断機」
その日、死んでしまいたいと思うほどの出来事にあっていた笑子は、笑子はおさないころ可愛がってくれた「おじい」と久しぶりの再会をする。
幼少時代から、現在にかけての回想のなかで、笑子が求めていたものとは。
単なる失恋の話ではなくて、失ってしまった家族の姿を描いている作品だとおもう。
3年前別れた男が元職場の後輩と結婚すると知り、笑子はその彼と築き上げるはずだった家庭が崩壊していくのを感じたのだと思う。だからこそ、死にたいと思い詰めたのではないかな。
幼いころから家庭に恵まれなかったからこそ、思い入れも強かったのだろうけど、彼女には幸せになってもらいたいね。
★★★☆☆
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