日々徒然でもない日常
最近TSUTAYAの旧作が100円になったから、毎週数本ずつ借りて充実。
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『ダリの繭』 有栖川有栖
発行 角川書店 角川文庫
ISBN13:978-4-04-191301-7
定価(税込) 700円
発売 1993/12/07
読了 2009/02/18~19 (?回目)
あらすじ
幻想を愛し、奇行で知られたシュールレアリズムの巨人・サルバドール・ダリ。宝飾デザインも手がけたこの天才に心酔してやまない宝石チェーン社長が、神戸の別宅で殺された。現代の繭とも言うべきフロートカプセルの中で発見されたその死体は、彼のトレードマークであったダリ髭がない。そして他にも多くの不可解な点が・・・。事件解決に立ち上がった推理作家・有栖川有栖と犯罪社学者・火村英生がたどり着いた意外な真実とは? 都市を舞台に、そこに生きる様々な人間たちの思惑を巧みな筆致と見事な理論で解き明かした、有栖川ミステリの真髄。
*****
以前に読んだ内容を大体覚えていたので、犯人も最初から分かってたんだけどそれでも面白かった。
基本的に火村先生が呼び出される(捜査協力を頼まれる)のは、こういう変わった事件が多いのでそういう意味での読み応えは十分堪能できるんだけど、短編だとどうしても背景とか人物像とかが希薄になりがちなのとは違って(この前まで読んでた短編があまりにも・・・な評価だったので^^;)、しっかりと描写されている。
この中で、有栖川の作家になるきっかけとなった出来事がかかれているんだけど、かなりエグイというかひどい話だった。 登場人物が作家と同じ名前なのでなんだか、その出来事本当なのかどうかが気になるんだけど、あくまで小説の中だけの話であってほしいと思った。
今回はまぁ、ありがちなパターンではあるんだけど王道でもある、女性をめぐる三角関係での事件(こんなことを書くと、犯人が誰だかわかっちゃうね^^;)。
女性が優柔不断なばっかりに、最終的にこういう事件に発展しちゃったっていう哀しい話なんだよね><
女性が悪いとは言わないけれど、今回の小説では有栖川の話でも自己中な女性が不快な行動をとるし、、、なんだか女性に含むことでもあったのかなぁ・・・って勘ぐりたくなるね^^;
でも、作家だなぁって思うのは脇役(この作品にしか出てこない、有栖川の隣人)の女性が、すごく和ませる役割を負っている気がする。場面としてはほとんど出てこないし、回想以外で出てくるのなんてラストの部分しかないのに、二人の女性の黒い部分を見ちゃった後ではこの女性に救われる感じがしたね。。。。
主要な登場人物の背景がきっちりと描かれていて、その面でも良くできてるなぁって思った。
ほとんどの登場人物が何かしら秘密をもっていて、そこが人間らしさっていうか現実感を持たせる役割を果たしているんだと思う。
ちょっといただけないのが、女装趣味の男性。短編でも「彼女か彼か」で同じ性癖を持つ人を書いてたけど、どちらかひとつにしたほうが良いように思う。ここで出すなら、短編をなくしたほうがいいし、短編を残すならここでの趣味を別なものに変えたほうがよかったんじゃないかなぁって・・・。
ラスト部分、犯人が自首するっていう話を聞いた彼女が「落ちて来い、飛行機。今、彼と私の上に落ちて来い。」っていうところが意味分からない。 なんで、こういうふうに思うんだろう?
叶以外の読者は意味わかったのかなぁ?
状況的には、一緒にこのまま死ねたら・・・ってことだけど、でもなんで?
★★★☆☆
「理解できるわな」
「ああ、もちろん理解できる」
私たちは理解理解と繰り返した。彼と私は時々このように、口に出して『自分が他者を理解していること』を確認しあう。とても共感など出来ない主義、思想、趣味でも、理解は可能でありたい、という共通の認識からくる二人ひと組の口癖だ。遠い他者と自分たちの間だけでなく、彼と私の間にも当然ながら共感しがたい主義、思想の食い違いは多少あった。死刑に対する賛否なのどその一例だ。しかし、お互いに相手の考えることを『それも考えとして成立する』と理解することは放棄すまい、と考えていた。
『P348 第8章 生者たちの繭 より』
「火村先生の繭は何や?」
彼は大きな欠伸をした。そして――
「学問にかこつけて人間を狩ることさ」
『P349 第8章 生者たちの繭 より』
火村先生の過去が気になります。
叶にとっての繭は、睡眠。。。。もしくは読書 かな^^
発行 角川書店 角川文庫
ISBN13:978-4-04-191301-7
定価(税込) 700円
発売 1993/12/07
読了 2009/02/18~19 (?回目)
あらすじ
幻想を愛し、奇行で知られたシュールレアリズムの巨人・サルバドール・ダリ。宝飾デザインも手がけたこの天才に心酔してやまない宝石チェーン社長が、神戸の別宅で殺された。現代の繭とも言うべきフロートカプセルの中で発見されたその死体は、彼のトレードマークであったダリ髭がない。そして他にも多くの不可解な点が・・・。事件解決に立ち上がった推理作家・有栖川有栖と犯罪社学者・火村英生がたどり着いた意外な真実とは? 都市を舞台に、そこに生きる様々な人間たちの思惑を巧みな筆致と見事な理論で解き明かした、有栖川ミステリの真髄。
*****
以前に読んだ内容を大体覚えていたので、犯人も最初から分かってたんだけどそれでも面白かった。
基本的に火村先生が呼び出される(捜査協力を頼まれる)のは、こういう変わった事件が多いのでそういう意味での読み応えは十分堪能できるんだけど、短編だとどうしても背景とか人物像とかが希薄になりがちなのとは違って(この前まで読んでた短編があまりにも・・・な評価だったので^^;)、しっかりと描写されている。
この中で、有栖川の作家になるきっかけとなった出来事がかかれているんだけど、かなりエグイというかひどい話だった。 登場人物が作家と同じ名前なのでなんだか、その出来事本当なのかどうかが気になるんだけど、あくまで小説の中だけの話であってほしいと思った。
今回はまぁ、ありがちなパターンではあるんだけど王道でもある、女性をめぐる三角関係での事件(こんなことを書くと、犯人が誰だかわかっちゃうね^^;)。
女性が優柔不断なばっかりに、最終的にこういう事件に発展しちゃったっていう哀しい話なんだよね><
女性が悪いとは言わないけれど、今回の小説では有栖川の話でも自己中な女性が不快な行動をとるし、、、なんだか女性に含むことでもあったのかなぁ・・・って勘ぐりたくなるね^^;
でも、作家だなぁって思うのは脇役(この作品にしか出てこない、有栖川の隣人)の女性が、すごく和ませる役割を負っている気がする。場面としてはほとんど出てこないし、回想以外で出てくるのなんてラストの部分しかないのに、二人の女性の黒い部分を見ちゃった後ではこの女性に救われる感じがしたね。。。。
主要な登場人物の背景がきっちりと描かれていて、その面でも良くできてるなぁって思った。
ほとんどの登場人物が何かしら秘密をもっていて、そこが人間らしさっていうか現実感を持たせる役割を果たしているんだと思う。
ちょっといただけないのが、女装趣味の男性。短編でも「彼女か彼か」で同じ性癖を持つ人を書いてたけど、どちらかひとつにしたほうが良いように思う。ここで出すなら、短編をなくしたほうがいいし、短編を残すならここでの趣味を別なものに変えたほうがよかったんじゃないかなぁって・・・。
ラスト部分、犯人が自首するっていう話を聞いた彼女が「落ちて来い、飛行機。今、彼と私の上に落ちて来い。」っていうところが意味分からない。 なんで、こういうふうに思うんだろう?
叶以外の読者は意味わかったのかなぁ?
状況的には、一緒にこのまま死ねたら・・・ってことだけど、でもなんで?
★★★☆☆
「理解できるわな」
「ああ、もちろん理解できる」
私たちは理解理解と繰り返した。彼と私は時々このように、口に出して『自分が他者を理解していること』を確認しあう。とても共感など出来ない主義、思想、趣味でも、理解は可能でありたい、という共通の認識からくる二人ひと組の口癖だ。遠い他者と自分たちの間だけでなく、彼と私の間にも当然ながら共感しがたい主義、思想の食い違いは多少あった。死刑に対する賛否なのどその一例だ。しかし、お互いに相手の考えることを『それも考えとして成立する』と理解することは放棄すまい、と考えていた。
『P348 第8章 生者たちの繭 より』
「火村先生の繭は何や?」
彼は大きな欠伸をした。そして――
「学問にかこつけて人間を狩ることさ」
『P349 第8章 生者たちの繭 より』
火村先生の過去が気になります。
叶にとっての繭は、睡眠。。。。もしくは読書 かな^^
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